冬キャンプのシーズンが来ると、「雪道って大丈夫?」という質問をよくいただきます。
ルーフテントを積んで、白銀の景色を目指す旅は特別なもの。でも、そこで気をつけたいのが、やっぱり“足元”、つまりタイヤの選択と装備です。
今回は「マッドタイヤ(M/T)やM/S表記のタイヤで、冬の道はどこまで行けるのか?」に加えて、もしもの時のリカバリー術についても紹介します。
■ M/S表記は「雪道OK」じゃない。むしろ注意が必要。

ルーフテントを載せたSUVや4WDだと、「どこまでも行けそうな気がする」という声をよく聞きます。
でも、M/S(Mud & Snow)表記は「泥や浅い雪に対応」というだけ。
この表記があっても、本格的な雪道や氷の上は別次元です。
特に、アイスバーンや凍結した山道では、スタッドレスタイヤとの性能差が歴然。
M/S表記だけを信じて突っ込むのは、正直おすすめできません。
■ マッドタイヤ(M/T)は雪に強い?それは「場所と状況次第」
リグレスの車もM/Tタイヤを履いて、年中あちこち走っています。
新雪や圧雪路では、ブロックパターンがしっかり噛んで、思いのほか安定しています。
「これなら雪道も悪くないな」と感じる場面も多いです。
けれど、問題は気温が下がるタイミング。
特に夕方から朝にかけて、路面が凍り始めると状況は一変します。
少しでも氷が張り始めると、タイヤは途端にグリップを失い、ブレーキを踏んでも減速しない。
下り坂では特に危険でそのまま横滑りしながら「これは止まらないな」と直感するあの瞬間は、本当に冷や汗ものです。
M/Tタイヤだけでは「行ける場所」と「行くべきでない場所」がはっきり分かれます。
そのラインを見誤ると、思わぬリスクに直面します。
■ ニュージーランドと日本、雪道の“質”がまったく違う

「ニュージーランドではマッドタイヤだけで雪道を走っているらしい」
こんな話を聞くことがあります。実際、南島のスキーリゾート周辺でも、オールテレーンやマッドタイヤを履いている車は珍しくありません。
でも、それは“ニュージーランドだからこそ”成立している話です。
そもそも、ニュージーランドは気温がそこまで下がりません。
たとえば、クイーンズタウン周辺で雪が降っても、気温は氷点下まで下がることが少なく、日中はすぐに緩んでくるような環境。
路面も、日本のようにカチカチに凍りつくことはあまりなく、シャーベット状の雪が残る程度。
この「路面が凍りづらい」条件があるから、マッドタイヤだけで対応できているというのが実情です。
一方、日本の冬山はまるで別世界。
特に長野、新潟、そして北海道の峠道。
夜明け前や日没後には一気に気温が下がり、路面はガチガチのアイスバーン。
朝から晩まで溶けない氷の世界が広がっています。
この環境で、もしマッドタイヤだけで突っ込んでいったら…止まれない、曲がれない、最悪の場合、帰って来られなくなるかもしれません。
「ニュージーランドで大丈夫だから日本もいける」という判断は、残念ながら通用しません。
それぞれの土地に合った装備を選ぶことが、冬のフィールドでは本当に大事だと思います。
■ ルーフテント車の冬は、こんな備えを。
安全に現地まで辿り着くために、私たちが実際にやっているのはこれです。
✅ スタッドレスタイヤに履き替える
✅ チェーンは必ず積む。迷わず装着する勇気を持つ
✅ 空気圧は状況に合わせて調整
→ オフロードと同じく、深雪や悪路では空気圧を下げてグリップ力を上げるのが基本。ただし、下げすぎると舗装路では危険なので、現場ごとに調整を。
■ スタックしたら?リカバリーグッズが命を守る

雪道でのスタックは誰にでも起こりえます。
そんな時、リカバリーボード(サンドラダー)は心強い味方。
スコップと組み合わせて、サクッと脱出できるので、冬の旅にも絶対積んでおくべきギアです。
✅ リカバリーボード
✅ スコップ(できればスノーシャベル)
✅ スリングと牽引ロープ
この3つがあれば、万が一の時でも焦らずに対処できます。
■ 「現地に着いてから」が楽しいからこそ。
冬のキャンプは最高です。
でも、道中のリスクを甘く見ると、たどり着けません。
ルーフテントという非日常を楽しむからこそ、「安全に移動すること」が一番大事だと、僕たちは考えています。
「M/S表記やマッドタイヤで行ける場所」は確かにあります。
でも、そこに条件やリスクがあることを、ぜひ知っておいてください。
また旅の準備、始めましょう。