アメ車ワールド掲載記事vol.2 「クロウズネスト」が誇る頑強さの要因とは?

 

大人気ルーフトップテントを販売する「リグレス」に聞いてきた

リグレス ルーフトップテント vol.2

「クロウズネスト」が誇る頑強さの要因とは?

前回の続き。パート2として、クロウズネストの優れたポイントについて聞いてきた。

更新日:2020.02.21文/石山英次 写真/古閑章郎 / リグレス

悪天候にも耐えうる設計思想

 前回は取り付けに関する記事を紹介したが、今回はテント自体の素材や強度といった特徴について取材してきた。

 ルーフトップテントとはいえ、あくまで車両を停止してから使用するため、「どれほどの強度が必要か」ということに関してはあまり興味対象にはならないかも。取材前はそんなことも感じていたが、話を聞けば何においてもやはり「作りは大切」ということを改めて思い知った。

 テントひとつにも、その製作者の思想がしっかりと反映されおり、たとえばそれは新車製作におけるボディ剛性だったり、空力だったり、サスペンション制御だったりとetc、いわゆるボディ外版の強度や性能等と非常に似通っている。

 クロウズネストは、外側から見るとテント形状がドーム状に見える。他社のテントと比較するとクロウズネストだけデザインが異なっているようにも見えるのだが、それは雨天時にルーフに水が貯まるのを防ぎ、雨漏れを防止する。

 と同時に風の強い日等の耐風効果を発揮する性能重視のデザインという。が、それが美しくもあり「機能美」というやつを醸し出している。

テント内部のフレーム部分はすべてアルミニウム製で、ヒンジや治具は海洋グレードのステンレスを使用することで長い耐久年数と優れた強度設計を確保。

前回は車両に取り付けるための必要情報を取材したが、今回はテント自体の素材や強度について取材した。H3に設置されているクロウズネストは、テントとしては非常に堅牢な、まるで昔のベンツのようなテントだった。

テントを広げるとわかるが、どこにも角ばった箇所がない。それでいて強風等の悪天候にも耐えうる強度が保たれているのは、ニュージーランドという天候下で設計されたから。またオリジナルのドーム型ルーフデザインにより、一般的なルーフトップテントと比べ、テント内部には十分な高さスペースがあるだけでなく、テント上部に雨水が溜まるのを防ぐ。

テント全体がダブルステッチにて縫製されている等、テントの堅牢さに貢献している製法が取られている。

他社のテントを引き離す圧倒的性能

 ルーフトップテントを検索すればよくわかるが、他メーカーからは箱型のルーフトップテントが多数販売されているし、箱型であればテントの隅は当然角張っている。そうしたテント類は天候が穏やかな日であればまったく問題はないが、ちょっとでも風があるとか雨が降るとかすれば、そうした箱型であるからこその難が露呈する。

 素人的な言い方で申し訳ないが、要するに角ばった面が直接雨風の抵抗になるのが最大の理由だが、そうした難から逃れるためにドーム型にすると内部のパイプフレームからのすべてをそのために作り込まなければならない。=製作面での困難が増える(技術面、コスト面etc)

 だから、その部分に目をつぶるテントが多いと思われるのだが、クロウズネストは最初からそうした悪天候時の対応アプローチを積極的に行っている。
強い日差しや雨からタープ内をしっかり守るためのテント上部を覆う天幕にはポリエステル420デニールもの厚い天幕を使用し、遮光や耐水性を上げている。
各部の縫い目の裏側には別布一枚を補強した上でのダブルステッチ縫いを実現し高い密封性を確保している。
経年劣化をもたらすファスナーには頑強さが売りの日本製YKKを使用する。
テント素材にはポリコットンを使用することで、通気性の良さと防水性の高さを実現する一方で、焚き火の火の粉によって穴が開きづらいといった特徴をもたらしている。

防風、耐水、耐候性高さがピカイチ

 くわえて、テントの四面に窓があり晴天時には360度のパノラマビューが楽しめるだけでなく、四隅の窓上部の屋根が雨よけにもなっており、実用面での使い勝手に優れている。

 しかもそうした骨格を覆うテント表皮には、二重三重にもおよぶ防水面での注意が払われており、各部の縫い目には別布一枚を補強した上でのダブルステッチ縫いを実現し高い密封性を確保している。縫製に関してはテント全体を通してダブルステッチ縫いだ。さらにファスナーには頑強さが売りの日本製YKKを使用。

 一方で、テント自体の生地にはポリエステル/コットン混合素材のリップストップ生地を使用しているから紫外線耐性と耐久性に優れている。

 ポリエステル/コットンの混合素材はポリコットンと言われており、ポリエステルとコットンの良いとこ取りをした生地であり、丈夫でシワになりにくく乾きやすいというポリエステルの良い部分と、風合い、通気性、吸湿性に優れたコットンの良い部分の両方を兼ね備えている。

テントを収納するトラベルカバーには、高い耐久性を誇るPCVを使用。
四隅の窓上部の屋根が雨よけになっているから、雨天時の使用にも長けているし、実用面での使い勝手に優れていると言えるだろう。

テント内部には独自開発されたクィーンサイズの高密度フォームErgoCellマットレス(厚さ 60ミリ)が装備されており、大人2人が快適に休むのに充分な大きさを誇る。
使用後のメンテナンスも簡単。雨に濡れた場合は、後に風を通して乾かす必要がある程度。ある意味地べたで使用するテントよりもメンテは簡単だったりする。

堅牢であるからこそ、逆にお手軽

 コットンには水を含むと膨張するという特性があり、雨が降って水を含むと自ら生地の隙間を埋めてくれるため水滴が下まで落ちるのを防いでくれる=防水性に優れている。一方で、焚き火の火の粉が飛んできても燃えにくいから穴が開きづらい(ポリエステルのみだと火に弱い)。

 くわえてテント上部を覆っているレインフライ。強い日差しや雨からタープ内をしっかり守るための天幕にはポリエステル420デニールもの厚い天幕を使用し、遮光や耐水性を上げている(一般的なアウトドアタープで70デニール、大型業務用で300から600デニールというからいからその厚さがよくわかるだろう)。

 またテント内部のフレーム部分はすべてアルミニウム製で、ヒンジや治具は海洋グレードのステンレスを使用することで長い耐久年数と優れた強度設計を確保(プラスチックは一切使用していない)。

 しかも防水性にも優れた製品となっているわけだから、ルーフトップテントにおけるあらゆる難を解消することに努めた頑強な商品と言っていい。

 聞けば、その製作元となるお国柄の特徴があるという。クロウズネストはニュージーランドのFeldon Shelter社製のテントであり、 ニュージーランドにはいまだ手付かずの大自然が残る地域があり、「一日のうちに四季がある」と言われるほど天候の変化が激しいのだとか。

 そんな国で開発されたルーフテントであるからこそ、日本の四季にも余裕で対応でき、また耐久性が高いからこその質感を備えているというのである。

 だから日本の気候内での使用においてもまったく問題なく長い閒使用可能だし、各部のヘタリやサビも起きにくいからこそ雨に濡れたら乾かすといった程度のメンテナンスは必要であるが(地面で使用するテントよりも乾かすのは楽)、ルーフトップテント全体から見れば、逆にお手軽なルーフトップテントとして人気が高いのである。

 その昔、「アウトバーンを時速200キロ以上で走るベンツ(W124くらいまでか)だからこそのクオリティに憧れている」という方が多数いたが、クロウズネストはまさしく当時のベンツのごときオーバークオリティの象徴に近いテントと言えるのである。

 筆者的には、今なら河川敷で少年野球をしている息子の見学に使うのも良いかと思っている。ルーフの上からだから、他車に邪魔されず勇姿が見えるはずだし。
ステンレス製ハシゴの横に装備されている収納ポケット。まず脱いだ靴を入れることができ、その他小物や呼び収納スペースとして活用できる。
こちらは別売りの新商品「CAMP ROLL」。1万9800円。普段は自宅等でも使え、キャンプ時にはキャンプ道具や調理器具等の収納に使える便利なツールボックス。テント使用時にはテント下に吊るして使うこともできるから万能ボックスとして活躍する。
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